カテゴリ:いのちをいただくおむすびごはん( 1 )

「食べる」ことから東日本大震災を考える

※この記事の写真では鶏を調理している写真が含まれています。3枚目に毛をむしっている様子。4枚目に肉を調理している様子が掲載されています。そんなに大して注意が必要なものでもないと思いますが、苦手な人は気をつけた方がいいかもです。

えとうです。「いのちをいただく おむすびごはん」、ついにこの日がやってきました。定員10組で申し込みが殺到するんじゃないかと思いきや、まさかの苦戦(笑)問い合わせや反響が多い割に申し込みまで至らなかった理由はなんなんだろうかと思いつつ、まずは当日の朝に養鶏場へ。養鶏場に行ったのは初めての体験で、所狭しと並ぶ鶏にびっくり。ひとつの檻に2羽ずつ入っているんやけど、振り返ることができないくらいの狭さ。ここで鶏たちは餌を食べ、卵を産みます。生んだ卵はポロンと落ちて、ベルトコンベアーで運ばれていく。
f0048597_3295480.jpg

そして参加者が集合しました。まずはゲスト講師の斉藤マチ子さんから鶏を絞めることについてのレクチャー。生きている状態から調理していきます。太宰府市の北谷という地区に伝わる伝統的な作り方で「とりめし」を作ります。北谷では「かしわめし」ではなく「とりめし」なんだって。鶏を絞める体験はほとんどの人が初めて。ちょっと身構えてしまうけど、意外とみんな自然体でした。この企画は基本的に親子参加です。親が、またはまわりの大人の反応が子どもに影響する。大人が嫌そうな顔をしたり、残酷的な話をすると子どもは敏感に感じ取ってします。ということを先に大人で共通理解をしました。今回参加した子どもは、12才1名、4才2名、1才1名、0才1名。
f0048597_3365025.jpg

というわけで、3羽の鶏を絞めました。締める方法はいろいろあるらしいけど、今回は首つり。鶏たちは声もあげることなく羽をパタパタと苦しそうにばたつかせて、いとも簡単に命が消えていく様を子どもたちは見届ける。そして、首を落として血を抜きます。ちゃんと血抜きをしないとおいしいとりめしはできません。足を持って逆さにするんやけど、重いし、足に体温が残っていて、さっきまで生きてたんだなぁと実感。4才児の2人も鶏の足を持って血抜きを手伝ってくれました。

そして鶏を熱湯につけて羽をむしります。この時、ぐらぐらたぎらせた熱湯につけるんやけど、羽をむしるとき羽が熱くて「熱っ!」と思わず大きな声を出してしまったら、子どもたちがひるんでしまった。これだけでも子どもは影響されてしまうから、本当に注意が必要だね。その後、「もう大丈夫」と言うと安心したけど。子どもたちも羽むしりを手伝いました。意外とするっと抜ける。

羽を抜いたら産毛を焼いて処理。丸裸になった鶏はこの時点で「肉」に変わった気がする。香ばしい匂いがして、おなかがすく。そして次はさばきます。これは熟練された技術が必要なので、マチ子さんにすべてお任せ。「ここが心臓、肝臓、砂ズリ…。これが卵になる前のもの、キンカンみたいでしょ?」と説明してもらいながらさばいてもらって、鮮やかな手つきに美しさすらおぼえます。キンカンみたいなのは成長途中の卵のこと。まだ黄身だけで、この後に白身に包まれ殻ができます。このようにさばいて食べる時の特権やね。お店でそんなに売っているものでもないし。こうしてさばいているところをみると、1羽にひとつしかとれない内蔵の大きさや量がよくわかる。焼き鳥屋で出てくる砂ズリの数を数えると鶏何匹分だ?と考えてしまう。こうしてみると、食べ物って必要な分を残さず食べるってことが大事なことなんだと本当に実感。
f0048597_3451788.jpg

そして、いよいよ調理。場所を調理室へと移動します。ここからはもうひとりのゲスト講師・井口和泉さんとマチ子さんから調理の仕方を教えてもらいます。そういえば、鶏の肉。通常よく売られているものは(もしかしたら加工品だけかも)いちいち手で羽を抜いたりできんから、洗濯機みたいな毛抜き機で抜くんだって。だから肉はぐるぐる回ってぶつかるからちょっとくたくたになっている状態。こんなふうに手で処理すると肉の質が全然違うらしい。餌とかもいろいろよね。さばいて胃や腸の中からその日の朝食が出てきたけど、養鶏場によって違うみたい。黄身を黄色くしたい時はトウモロコシとか黄色いものを、つまめる卵とか色が不自然に鮮やかなものとかは多分そんなふうになるような餌なんだろうと思う。今回は餌のことまでは聞けなかったけど。
f0048597_4153487.jpg

つくるメニューは、とりめし、鶏ガラスープ、鶏の皮酢、鶏と大根の煮物、梅干しと大根の漬け物。予定外のメニューがその場のアレンジで追加されました、ラッキー。大根は北谷のマチ子さんの畑でとれたもの。梅干しもマチ子さんの自家製。
f0048597_4154248.jpg

子どもも大人も男も女も、こうしてみんなで調理するのも楽しい。親子でだいたい50人くらいを想定してたけど、結果これくらいの人数でよかった気がする。20人くらいでみんなとお話ししながら、それぞれに役割があって。
f0048597_4444525.jpg

ごはんを4升、ちょうど炊きあがる直前に準備していた鶏肉と調味料を投入!いっきにいい匂いが部屋に充満します。しっかり蒸してできあがり。地域によって「混ぜごはん」式や「炊き込みごはん」式があるけど、北谷では混ぜご飯。めちゃくちゃうまそう!
f0048597_457484.jpg

みんなそろって、いただきまーす!この時はもう「いただきます」の意味がいつもと違う!いつも以上に心がこもった「いただきます」でした。子どもたちの意識も変わった気がする。みんなで昼食を食べながら今日の感想を1人ずつ発表してもらいました。大半が「鶏を絞めて食べる」という行為に対して「とてもいい体験だった」という感想でした。でも、この企画の趣旨は企画文にもあるように「食べる」という行為を通じて、東日本大震災のことを考えるということ。このことについて、オレから説明はしたものの、みんなはどう思っていたんだろう。おいしすぎるごはんの印象が大きくて忘れてたのか、話しにくさがあったのか、その辺はわからんけど、なにかしら感じてもらえたらいいなと思います。いろんなことを考えるきっかけや、話しやすくするための関係性づくりがこの企画のテーマだったのだから。
f0048597_4532962.jpg

それにしても以下2枚の写真が今回の企画をやってよかったと物語っています。「おいしー!」とでっかい声を張り上げながら食べる4才児。
f0048597_510671.jpg

ひとり黙って3杯目のおかわりをする4才児。最初から最後まで体験して、おいしいと言ってくれた。これがなによりもうれしかったです。
f0048597_5115548.jpg

そして、午後からは母体イベント「絆創幸」のトークでツツミメンバーが支援作業の報告をしました。この時、いっぱいつくった「とりめしのおむすび」を希望者に食べてもらいました。おむすびは参加者のお土産にして、家で食べながら家族で会話するきっかけに。そして、このトークの場で、それぞれの企画をしてたり全部の企画を回りきれていなかったお客さんたちを含むこの場にいるみんなの縁を「とりめしのおむすび」で結びたい。そんな想いでした。
f0048597_5155084.jpg

「絆創幸」全体のレポートはエ・コラボのブログで。ちなみに、とりめしのいい匂いにつられて人がどんどん調理室に入ってきてびっくりしました。「この企画は事前申込制なんです」というととても残念そうに帰っていきました。せっかく覗いてくれた人、ごめんなさいね。それと斉藤マチ子さん、井口和泉さん、本当にありがとうございました!
f0048597_5301433.jpg

by cat-diary | 2012-03-03 19:27 | いのちをいただくおむすびごはん